- 日本経済団体連合会(経団連)のSDGsに関する取り組みは?
- 町でよくSDGsバッジをつけている人を見かける。あの意味は?
の疑問にこたえます。
結論から言うと、
- 2017年、日本経済団体連合会(経団連)は、IoTやAI、ロボット等革新技術を最大限活用し人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会「Society 5.0」の実現を柱として、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、経団連が提唱する「企業行動憲章」を抜本的に改定しました。
- その結果、東証一部を中心とする企業にSDGsが浸透し、2019年の認知度は96.7%で、すでに取り組みを始めている企業は61.6%でした。
- 企業のSDGsの取り組みにあたり、社員のモチベ維持向上、取引先へのアピールなどの理由からSDGsのバッジをつけるが増えています。
次の章で詳しく見ていきましょう。
Society 5.0 for SDGs
Society 5.0
Society 5.0とは、AIやIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業や社会に取り入れることによりする実現する新たな未来社会の姿です。
狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、人類社会発展の歴史における5番目の新しい社会の姿としてます。(注1)
この未来社会では、健康・医療、農業・食料、環境・気候変動、エネルギー、安全・防災、人やジェンダーの平等などの様々な社会的課題の解決とともに、国や人種、年齢、性別を越えて必要な人に、必要なモノ・サービスが、必要なだけ届く快適な暮らしが実現します。
経団連はこの動画で、Society 5.0の世界を描いています。
企業行動憲章
Society 5.0の未来の創造は、国連で掲げられたSDGsの理念に沿うものです。経団連では、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱として、2017年に企業行動憲章を改定しました。
ここに企業行動憲章の前文を引用しますが、お急ぎの方は、太文字を読んでください。
企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値および雇用の創出と自律的で責任ある行動を通じて、持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う。そのため企業は、国の内外において次の10原則に基づき、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。
(持続可能な経済成長と社会的課題の解決)
イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る。
(公正な事業慣行)
公正かつ自由な競争ならびに適正な取引、責任ある調達を行う。また、政治、行政との健全な関係を保つ。
(公正な情報開示、ステークホルダーとの建設的対話)
企業情報を積極的、効果的かつ公正に開示し、企業をとりまく幅広いステークホルダーと建設的な対話を行い、企業価値の向上を図る。
(人権の尊重)
すべての人々の人権を尊重する経営を行う。
(消費者・顧客との信頼関係)
消費者・顧客に対して、商品・サービスに関する適切な情報提供、誠実なコミュニケーションを行い、満足と信頼を獲得する。
(働き方の改革、職場環境の充実)
従業員の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現する。また、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備する。
(環境問題への取り組み)
環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件として、主体的に行動する。
(社会参画と発展への貢献)
「良き企業市民」として、積極的に社会に参画し、その発展に貢献する。
(危機管理の徹底)
市民生活や企業活動に脅威を与える反社会的勢力の行動やテロ、サイバー攻撃、自然災害等に備え、組織的な危機管理を徹底する。
(経営トップの役割と本憲章の徹底)
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識して経営にあたり、実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に周知徹底を図る。あわせてサプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促す。また、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生した時には、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たす。
会員企業は、本憲章の精神を遵守し、自主的に実践していくことを宣言する。
[出典] 企業行動憲章より
経団連の会員企業に対し、「持続可能な社会の実現が企業の発展の基盤であることを認識し、広く社会に有用で新たな付加価値および雇用の創造、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の推進により、社会的責任への取り組みを進める。また、自社のみならず、グループ企業、サプライチェーンに対しても行動変革を促すとともに、多様な組織との協働を通じて、Society 5.0の実現、SDGsの達成に向けて行動する。」ことを呼びかけました。(注2)
会員企業は「企業憲章」の実践が求められることから、経団連に参加している約1400の企業に一気に浸透しました。
参考に、経団連の入会資格は次のようなことが定められています。
- 経団連の事業に賛同し「企業行動憲章」の精神を尊重・実践すること
- 純資産額が1億円以上
- 3期以上連続して当期純損失を計上していないこと
- 過去3年に重大な不祥事がないこと など
その結果、2019年に東証一部上場企業でのSDGs認知度は96.7%で、すでに取り組みを始めている企業は61.6%でした。(注3)
▽SDGsの認知度について詳しくはこちら。
SDGsのバッジ
電車や道でSDGsのバッジをつけているサラリーマン(ウーマン)を見かけることありませんか?
SDGsバッジをつけることを経団連が推奨しているわけではありません。しかし、SDGsに取り組む企業が増えるにつれて、次のメリットからバッジをつける人が増えています。
- SDGsに取り組んでいることを対外的にアピールできる
- 社員全員がつけることで、会社全体でSDGsに取り組むという向上心を共有できる
- SDGsに取り組んでいる他の取引先や団体、個人と一体感を持てる
- SDGsに関する会話や取り組みを実行しやすくなる
- 会社のSDGs活動停止を防ぐことができる
- SDGsは世界規模の取り組みのため、海外の取引先・SDGsの活動を行っている企業にもアピールできる (注4)
まとめ!
2017年、日本経済団体連合会(経団連)は、IoTやAI、ロボット等革新技術を最大限活用し人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会「Society 5.0」の実現を柱として、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、経団連が提唱する「企業行動憲章」を抜本的に改定しました。
その結果、東証一部を中心とする企業にSDGsが浸透し、2019年の認知度は96.7%で、すでに取り組みを始めている企業は61.6%でした。
企業のSDGsの取り組みにあたり、社員のモチベ維持向上、取引先へのアピールなどの理由からSDGsのバッジをつけるが増えています。
頑張るあなたを応援しています!次の記事で会いましょう!
出典
(注1) 経団連 Society 5.0とは
(注2) 経団連 企業行動憲章の改定にあたって
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