国際協力とは?どんなアクターが、どんな分野で活動しているの?
なぜ世界は、日本は、国際協力をする必要があるの?
国際協力で世界はどう変わってきたの?
の疑問にこたえます。
この記事の信頼性
この記事では、国際協力に取り組んでいるアクターと活動分野、そして国際協力により世界はどう変わってきたのか、具体的に、分かりやすく解説します。
国際協力とは
国際協力に取り組む5つのアクター
国際協力とは、「政府間、多国間、あるいは民間で行われる、国境を超えた援助・協力活動」です。(注1)
世界196か国の内、開発途上国と呼ばれる国々は、実に150か国以上にのぼります。
開発途上国の多くは、貧困や医療・教育へのアクセスといった課題を抱えていますが、そうした国々で飢えや貧困に苦しみ、十分な食料や飲み水が得られなかったり、教育や医療を満足に受けられなかったりする人々は、世界人口約70億人のうち多くの割合を占めると言われています。また、グローバル化が急速に進み、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて大量に・迅速に移動することが可能となった昨今、開発途上国の課題についても開発途上国のみの問題にとどまらず、世界規模での環境破壊や感染症の蔓延、紛争問題の深刻化といった形で、世界全体の脅威となっています。
すなわち、「開発途上国の課題は世界全体の問題」と認識を改める必要があり、国際協力活動は、世界規模の安定と繁栄につながっている、と言えるのです。
[出展] PARTNER 国際協力業界を知る・理解する
多国間、二国間、草の根といった様々なレベル感での活動が行われており、関わり方も多様です。ここでは、国際協力に取り組む5つのアクターを紹介します。
- 国連機関
- 政府機関
- NGO
- 企業
- 個人
国連機関
第二次世界大戦の後、もう2度と世界大戦を繰り返してはならないという反省のもと、国際連合(以下、国連)はつくられました。
そのため、国連の目的は、「平和維持、国家間の友好、国際協力」です。
国連は、SDGs(持続可能な開発目標)や国際的な条約等の制定だけでなく、国際協力として、困っている国やその国民を直接的に支援する活動を
行っています。
例えば、国連機関の一つである世界銀行では、貧困を撲滅するために、開発途上国の発展を支援しています。
「多国間援助」で、加盟国どうしが助け合う「共済」の仕組みです。
途上国の開発計画を共に立て、インフラ、保健医療、教育、ITなどの効果的な事業に低金利・長期での貸付や贈与を行うことで、途上国の「国づくり」をサポートしています。
例えば、世界銀行では、アフリカでのデジタル開発への支援を行っています。
世界銀行で働く日本人スタッフは約300人、日本からの拠出金は世界第2位です。
日本は、世銀などの国連機関を、人的・金銭的にサポートすることを通じて、国際的に貢献しています。
政府機関
日本政府は国際貢献として、開発途上国の社会、経済の開発を支えるために、税金を使って「政府開発援助 (ODA)」を行っています。
ODAを通じて世界の安定と平和を促進することで、日本の国益につなげるためです。
日本では、ODAの一元的な実施機関として、国際協力機構 (JICA)が有名です。
JICAでは、「二国間援助」として、開発途上国の政府からの要請を受けたら、政府 対 政府(G to G)の支援を行います。
JICAでは、次の事業を、インフラ、保健医療、教育、貧困撲滅などの多岐にわたる分野で行っています。
- 有償資金協力 (円借款)
- 無償資金協力
- 技術協力
政府レベルの事業が多いため、案件は大規模・長期で、裨益効果(メリットを受ける人)のすそ野が広い傾向にあります。
具体的な取り組みは、こちらをご覧ください。
NGO
NGOとは、Non Governmental Organization (非政府組織)であり、市民の立場で支援を行う団体です。
NGOは「草の根レベル」での「顔の見える援助」を行っています。
多国間や二国間の援助では、政府間の取り決めが必要で、すぐに行動を移すことは難しいです。
一方では、NGOでは、必要な時に、必要な支援を、草の根レベルで素早く届けることが出来ます。
具体的な活動は団体によって様々ですが、事例はこちらの動画をご参照ください。
企業
企業としては、このような多岐にわたる関わり方があります。
- 開発コンサル企業として、JICAのODA案件を受注
- ソーシャルビジネスで、社会課題の解決のための事業を実施
- CSR (企業の社会的責任)の一環で、国際協力
- SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて協力
- 法人として寄付 など
近年は、経団連がSDGsを賛同・推進していることもあり、企業としてSDGsの達成に向けて取り組む企業も増えてきました。
コロナ後のニューノーマルは、SDGsとまで言われています。
企業にとってのSDGsについて、ここで解説しています。
個人
個人としても、草の根レベルでさまざまな取り組みを行っています。
- 個人として、途上国に学校や病院をつくるなど
- 専門家としてJICA案件を受注
- 寄付
- ボランティア など
多くの方々は、寄付やボランティアを通じて貢献しています。
数は少ないですが、フリーランスとして国際協力を行っている人もいます。
分野
国際協力では、人間の生活に関わるあらゆる分野での支援が行われています。
JICAの二国間援助では、次の分野への支援を行っています。
- 教育
- 保健医療
- 水資源
- ガバナンス
- 平和構築
- 社会保障
- 運輸交通
- 情報通信技術
- 資源・エネルギー
- 経済政策
- スポーツと開発 など
国連やJICAなど多分野での国際協力事業を行っている団体では、組織内で、分野や国ごとに部署を分けて高い専門性にも対応しています。
また、NGOでは特定分野に特化している団体が多く、活動領域を広げている団体でも主分野に関連した形で広げています。
例えば、セーブ・ザ・チルドレンでは「子ども」を軸に教育・保健栄養・貧困などの多分野に取り組んでいます。国境なき医師団では「緊急医療」を軸に母子保健・災害支援・心理ケアなどの活動を行っています。
国際協力等による世界の変化
ベストセラーの「FACTFULLNESS」にも書かれているように、世界はどんどん良くなっています。
世界の良くなり続けていること5つ
- 識字率:世界中の15歳以上で基本的な読み書きができる人の割合。10%(1800年)→86%(2016年)
- 女子教育:初等教育を受ける年齢の女子のうち、実際に学校に通う子の割合。65%(1970年)→90%(2015年)
- 電気の利用:世界の全人口のうち、いくらかでも電気が使える人の割合。72%(1991年)→85%(2014年)
- 安全な飲料水:世界の全人口のうち、安全な飲料水を利用できる人の割合。58%(1980年)→88%(2015年)
- 予防接種:世界中の1歳児のうち、何らかの予防接種を受けている子どもの割合。22%(1980年)→88%(2016年)
[出展] FACTFULLNESS「増え続けている16の良いこと」より抜粋
世界中の人々の努力により、世界はどんどん良くなってきています。
しかし、逆を返すと、このようにも言えます。
- 基本的な読み書きをできない大人は、世界人口の14%
- 初等教育を受けられない女の子は10%
- 電気をまったく使えない人は、世界人口の15%
- 安全な飲料水を利用できない人は、世界人口の12%
- 予防接種を1度も受けたことのない1歳児は12%
例えば、基本的な読み書きをできない人は、どんな人生を歩むのでしょう?
給料の高い仕事に就くことは難しいでしょう。
ゴミ拾いをしたり、家事手伝いをしたり、売春をしたり、物乞いをしたりして、その日暮らしをしているのかもしれません。
生まれた地域・時代が違うだけで、人生のスタートラインが違ってしまう。
そういった人が、世界が100人の村だとすると、14人もいるのです。
「Warm Heart, Cool Head」
暖かい心をもって共感し、冷静に考える。
人間としての共感を持つこと、とても大切です。
世界は良くなりつつも、取り残されている人がいる限り、国境を越えた助け合いが求められるのではないでしょうか。
Take Action!
いかがでしたか?
この記事では、国際協力に取り組んでいるアクターと活動分野、そして国際協力により世界はどう変わってきたのかを解説しました。
読者の皆さんの理解のご参考になれば幸いです。
国際協力の関連の仕事ついては、この記事もご参考になります。
▽国際協力の仕事に興味のある方
▽国連で働くことに興味のある方
▽JICAで働くことに興味のある方
▽NGOでの仕事に興味のある方
頑張るあなたを応援しています!次の記事で会いましょう!
出展
(注2) JICA 地域・分野別の特徴について
(注3) FACTFULNESS
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