国際協力する意義は?
栄養士・管理栄養士の資格を生かして国際協力するには、どんな方法があるの?
現地派遣でキャリアを変える(中断する)のは不安…復職や次のキャリアの対策を知りたい。
の疑問にこたえます。
栄養士、管理栄養士は日本の資格ですが、グローバル化が進み、知識やスキルを活かして海外で働くこともできます。
この記事では、栄養士として国際協力する意義、方法6選を分かりやすく解説します。
また、キャリアへの不安の備えとして、復職や転職支援のサービスを紹介します!
国際協力する意義
世界の食の不均衡
世界には途上国での「栄養不足」と先進国での「栄養過多」の不均衡の問題があります。
2018年に発表された国連の調査によると、世界で約8憶人以上、世界人口の9分の1が飢餓の状態にあり、その飢餓人口の約3分の2がアジア地域に集中しています。
▽栄養失調の主な問題点
- 体の免疫力が下がり、病気にかかりやすくなり、病気にかかったら治りにくくなります。その結果、下痢などの通常なら防げる病気でも、命を落としやすくなってしまいます。
- 脳への栄養も不十分で障害が残ったり、体の成長が遅れることもあり、将来的に社会的な生活が難しくなる可能性があります。
その一方、日本などの先進国では、栄養過多の問題があります。
▽栄養過多の主な問題点
- 高齢化と食の欧米化により、生活習慣病が死因のトップを占めています。2019年の死因は、1位がん、2位心疾患、3位老衰でした。
- 日本の食品廃棄の問題です。年間2,531万トンの食品廃棄物等が出されています。 このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品「食品ロス」は約600万トン。これは、世界の食料援助量(2019年で年間約420万トン)に比べると、食品廃棄は約6倍、食品ロスは約1.4倍に相当します。
こういった食の不均衡の解消に取り組む方々について、意義や方法を次の章で解説します。
国際協力する理由
ここでは、国際栄養士として活躍する太田さんの国際協力する理由を紹介します。
(中米に興味を持ち、高校を休学してキューバへ留学します。そこには、栄養失調でやせ細った子どもたちがたくさんいました。)
「キューバは医学が発達していて、優秀なお医者さんも大勢いるのに、なぜだろう?」
…考えた末に、
「この国には、栄養について教えてくれる人がいないからじゃないか?」
という結論にたどり着き
「この子たちを助ける栄養士になろう!」と心に決めました。
「私は16歳で初めて“なりたいもの”が見つかったんです。自分に夢を持たせてくれた子どもたちに、いつか恩返しができたらいいなって」(注2)
栄養士・管理栄養士として国際協力する方法6選
JICA海外協力隊に参加する
一番オーソドックスな方法が、JICA海外協力隊の「栄養士」や「家政・生活改善」隊員への参加です。
活動内容
東ティモール、モンゴル、パラオ、ペルーなどの途上国での栄養指導などの活動を行います。
活動内容の例はこちらです。
- 地域の女性、子ども、患者さんへの栄養指導
- 地域コミュニティ、大学や団体への栄養講習
- 栄養に関するデータ収集・分析や報告書作成、資料整理など管理体制の支援
応募要件
応募するには、次の要件を満たす必要があります。
- 栄養士としての実務経験2~5年以上
- 日常会話以上の英語力(英語D~B。TOEIC 330点~640点以上)
- 年齢は20~45歳が多いですが、それに限りません。
- ポジションによっては、大卒や管理栄養士として病院での実務経験3年以上が求められるものもあります。
2021年度春募集
2021年度長期春募集では、栄養士で6件、家政・生活改善で4件、料理で4件のポジションの募集がなされています。
募集期間は5月20日(木)~6月30日(水)正午です。(2021/5/23現在)
メリットは、WFP等の国連機関の食糧支援プロジェクトにも関われるポジションがあることです!国連は通常ルートだと超高倍率なので、JICAを通じていくのがおススメです。
興味がある方は、まずは応募してみてはいかがでしょうか♪
派遣経験者の声>>アフリカ・マラウイでの栄養改善活動
NGOや財団で働く
NGOや財団に勤めて、途上国での栄養指導を仕事にするのも一つの方法です。
Table For Two、AMDA、ジャパンハート、ハンガーフリーワールド、ワールドビジョン、セーブ・ザ・チルドレンなどのNGOでも栄養対応の活動を行っていますので、時期次第で募集がなされているので、こまめに情報をチェックしてみると良いでしょう。
また、アライアンス・フォーラム財団では栄養改善事業を行っています。
正社員の募集も不定期に行っているため、このような団体へ応募するのも方法です。
詳しくはこちら>>アライアンス・フォーラム財団 採用情報
日本栄養士会での派遣を受ける
日本栄養士会では、国際栄養士連盟・アジア栄養士連盟に加入し、発展途上国への支援などを行っています。
「国際公衆衛生向上事業」では、ベトナムやカンボジア等への支援や海外留学助成を行っています。
入会して、こういった事業を活用してみるのも1つの方法ではないでしょうか。
詳しくはこちら>>日本栄養士会の目的と役割
国連機関で働く
WFP (世界食糧計画)、FAO (国連食糧農業機関)などの国際機関で働く方法もあります。
WFPでは、緊急時の食糧支援、学校給食プログラムなどを行っています。
WFPでの栄養士の空席公募情報はこちらで確認できます。>>WFP空席公募情報
とはいえ、空席公募は時に何百倍の倍率になることもあり狭き門です。
35歳以下の日本人には、JPO制度(倍率5~7倍)という有利な制度もあります。
JPO制度を使えば、意外と国連で働く選択肢も以外とハードルも低いかも…?
関連記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
開発コンサル会社で働く
保健医療や農業など分野での活動を行う開発コンサル会社に就職し、栄養の専門家として活動する方法もあります。
ある程度の修行は必要になりますので、専門家として活動するには数カ月~数年を要するかもしれません。
▽関連記事
民間企業のCSR部門や海外部門で働く
海外にも事業を展開している日本の民間企業は、事業の一環、そしてCSR活動として国際協力を行っている企業もあります。
例えば、味の素、ヤクルト、タニタ、森永乳業などが有名です。
このような企業に就職し、海外事業に携わったり、CSR部門への配属を希望することも方法です。
但し、CSR部門でのポジションは、新卒・転職向けにオープンにされてなく、入社後に異動するのが一般的です。入社後のキャリアも併せて検討する必要があります。
現地派遣後のキャリアの備え
栄養士・管理栄養士として国際協力の活動してみたいけど、派遣後のキャリアが不安…
という方に向けて、栄養士・管理栄養士の資格を生かした転職・再就職先の探し方3つを紹介します。
日本栄養士会の復職・転職支援のサービスを活用する
日本栄養士学会では、転職・再就職ガイドを公表したり、就職・転職サポートのサービスを提供しています。
詳しくはこちら>>日本栄養士学会 転職・再就職ガイド
JICAでのキャリアを積む
JICA海外協力隊に参加する方が対象となります。
「栄養×国際協力」といった関心が強い方は、JICAでのキャリアを積んでいくのも1つの方法です。
協力隊経験者のみ対象のポジションの採用も行われています。国際協力の世界で働きたい方は次の関連記事を参考にして、JICAへの応募も考えてはいかがでしょうか。
民間企業や医療施設などへの転職
将来転職できるの?栄養士の仕事のニーズは?自分の市場価値?
と心配されている方もいるのではないでしょうか。
そういった不安を解消するのが、キャリアアドバイザーへの相談です。
次のような大手転職支援サイトでは。キャリアアドバイザーへの相談を無料ででき、転職する際には書類作成や面接対策などのアドバイスをもらうことができます。
- DODA|転職者満足度No.1…非公開の限定求人もあり。年収査定やキャリアタイプ診断など、関連サービスが充実しています。まずはここに登録しましょう。
- リクルートエージェント|転職成功実績No.1…最大級の転職サイトなので案件が豊富。選考対策のサポートもしてくれます。
- マイナビ20s…定番のマイナビです。大手だと求人数も多く、登録して損しないはずです。
海外派遣に挑戦する前に、自分の市場価値や転職可能性を確認しておけば、安心につながるのではないでしょうか。
Take Action!
いかがでしたか?
グローバル化が進む中、栄養士・管理栄養士の資格をいかして、国際協力に関心を持つ方々が増えています。
この記事では、栄養士の国際協力の働き方として次の6つを紹介しました。
- JICA海外協力隊に参加する
- NGOや財団で働く
- 日本栄養士会での派遣を受ける
- 国連機関で働く
- 開発コンサル会社で働く
- 民間企業のCSR部門や海外部門で働く
あなたの関心にあう方法は見つかりましたか?
頑張るあなたを応援します!次の記事で会いましょう!
出展
(注1) 消費者庁:食品ロスについて知る・学ぶ
(注2) 日本に数えるほどしかいない、「国際栄養士」の大切さ
(注3) JICA海外協力隊:「家政・生活改善」
(注4) 日本栄養士学会 転職・再就職ガイド
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