- ユニセフでの仕事内容は?
- 職員に求められる要件は?
- 給料や待遇は?
- 応募方法、倍率は?
- ユニセフ職員のやりがいやクチコミは?
の疑問にこたえます。
日本人が一番多く働いている国連機関、ユニセフ。
この記事では、ユニセフでの仕事内容、職員に求められる要件、応募方法・倍率をわかりやすく解説します。最後に、職員の方がユニセフでのやりがいなどのクチコミ、国連で働きたい方へのアドバイスを紹介します。
ユニセフで働く
概要
ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの命と権利を守るため、 最も支援の届きにくい子どもたちを最優先に、約190の国と地域で活動しています。
保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護などの支援活動を実施し、その活動資金は、すべて個人や企業・団 体・各国政府からの募金や任意拠出金でまかなわれています。
- 設立 :1946年
- 本部 :アメリカ/ニューヨーク
- 現地事務所 :157カ国
- 職員数 :約13,000人うち、専門職以上の日本人は120名 (2020年現在)
- 支援実績の例(2021年実績)
- 約3900万人の赤ちゃんの出産を保健施設で支援
- 7000万人近くの人びとへ安全な水のアクセス(2018~2021年)
- 約4900万人の子どもたちへ教育支援を実施 (注3)
主な活動分野
ユニセフは、最も支援の届きにくい子どもたちを最優先に、さまざまな活動を行っています。世界のすべての子どもの命を守り、健やかな成長を支え、明るい未来をつくるために、約190の国と地域で活動しています。(注1)
仕事内容
ユニセフでの仕事内容は、国家間や現地までの様々なレベルで、分野は多岐にわたります。ここでは、職員の主な活躍の場として、①現地事務所、②東京事務所、③地域事務所での仕事を紹介します。
現地事務所
ユニセフ全職員(国際職員と国内職員)の85%は現地事務所で働いています。仕事内容はこちら。
- 子どもの状況を調査し、ニーズを正確に把握
- 有効な国別援助計画・予算を立案
- 援助計画の実施・モニタリング・評価で援助を必要とする子どもと家庭に到達
支援を必要としている子どもたちやその家族にニーズに即した支援を届けるため、現地事務所では、保健、栄養、水と衛生、教育、子どもの保護、緊急支援など、それぞれの分野の専門職員が活動しています。
東京事務所
- 日本政府、JICA、NGO、民間企業などとのパートナーシップ形成
- 子どもの権利推進のための啓蒙活動やアドボカシー活動
- 「子どもの権利条約」、「ミレニアム開発目標」、「ユニセフ事業計画」を枠組みとして、日本のODA(政府開発援助)による国際開発協力事業と世界各地におけるユニセフ支援活動との連携を促進する
地域事務所
中部・東部ヨーロッパ、中東・北アフリカ、南アジアなど世界7カ国にある地域事務所では、その管轄地域にある現地事務所の業務を支えるため、次のような業務をなどを行っています。専門知識を持った技術支援の担当スタッフは、業務の大半を各国の現場で過ごし、現地事務所のスタッフや政府の人たちに技術を伝えています。
- モニタリング・評価
- 調査や知識管理
- 能力育成のための研修
- 技術支援 (注2)
職員に求められる要件
ポストによって応募条件は異なりますので、希望するポストの空席広告を確認する必要がありますが、一般的には次の要件が求められます。
- 修士
- 社会人経験2~3年以上
- 英語は最低限必須。プラスαで国連公用語をもう1か国語扱えると望ましい。
給料・待遇
専門職
給料は勤務する地域や職員のレベルで大きく変わります。
例えば、東京で勤務の場合、国連の専門職・管理職の年収は約950万〜3700万円(1USD=130円、2023年1月現在)に加え福利厚生が支給されます。
福利厚生では、休暇、健康保険、年金などが支給され、待遇は充実しています。
詳しくはこちら↓
一般職
一般職の給料は、各国ごとにレベル(1~7)とステップ(I~XII)からなる給与体系(salary scale)が定められています。給料水準は、現地の給料水準に合わせて設定されています。そのため、同じレベル・ステップの職員でも国ごとに給料は大きく異なります。
ユニセフ本部のあるニューヨークでの一般職の給料は、約569~1509万円(1USD=130円、2023年1月現在)です。
一方、ケニア・ナイロビでの給料は、約78万~596万円(1USD=124シリング, 1USD=130円換算。2023年1月現在) です。
詳しくはこちら↓
ユニセフへの応募方法
主な応募方法は2つあります。①JPO制度、②空席公募です。
JPO制度
JPO試験の「外務省選考枠」での応募となります。倍率は5~7倍ほどです。日本人の国連職員の約4割は、はじめはJPO試験からの採用といわれています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
空席広告
専門家・管理職、一般職などは一般的にこの方法で採用がなされます。全世界での競争となりますので、競争倍率はJPO制度よりは高くなります。しかし、他の国連機関に比べて、UNICEFは正規職員の空席の多くが公募に出るため、外部から受けやすい傾向にあります。
ユニセフ職員になるまでのキャリア事例
ユニセフの契約職員にいたるまでのキャリアの例を紹介します。(注4~6)
- 学士(在学中に海外留学)→ 経済産業省の外郭団体 → 修士(ジェンダーと開発)→ UNICEFエチオピア事務所でインターンシップ → コンサルタント → JPO試験合格 → UNHCR駐日事務所
- 学士、難民支援NGOでの活動 → UNHCRでのインターン経験 → 修士(人権・人道支援学) → UNHCR駐日事務所
- 学士(法学) → 修士(公共行政管理学、国際関係論の両修士号取得)→ 外資系コンサルティング会社 → 日本ユニセフ協会(広報・渉外)→ JPO試験合格 → ユニセフ東京事務所
- 学士(政府科学)→ 修士(暴力、紛争と開発)→ 青年海外協力隊 → NGOで緊急復興支援 → JPO試験合格 → JPOで国連人道問題調整事務所(OCHA)勤務(人道問題調整官) → OCHAからUNICEFに出向
ユニセフで働くとは
国連フォーラムの「国連職員NOW!」から、国連職員で働いている人のインタビューを紹介します。役職はインタビュー当時のものです。
仕事の魅力・やりがいは何ですか?
数字で成果が現れる時です。自分たちの仕事によって何人を支援できたのかが明確になると成果を実感でき、またがんばろうと思えます。
私の今の仕事は直接裨益者と関わることがあまりなく、今いるスタッフの業務改善が主な仕事なので、実際に何人の裨益者が支援を受けたという成果を見せた時に、スタッフみんなが変わっていくのが見るのが嬉しいです。(注4)
あなたにとって国連とはどういう場所ですか?
ワクワクする場所ですね。何ができるかなと皆で一緒に考えられる場所だと思います。
マイナスな面も散々見てきたので批判する点もありますが、同じ規模で同じことができる国際機関はやはり国連以外にはないと思うので。
もっとよくなってほしいという気持ちもありますが、信念を同じくする人々が集まる組織としては、とてもいい場所ではないかなと思っています。
もともと理想に基づいてできた機関じゃないですか。当然、現実には理想通りにならないこともたくさんありますが、世界平和を守るという信念を持っている機関なので、皆がその信念に沿って動いていけば、いい方向に向かっていくと思います。今後もあきらめずに信念を持ち続けてよい方向に進んでいってくれればいいなと思います。(注4)
国連職員を目指す方へのメッセージ
若いうちに身につけておくべきスキルは語学力だと思います。大学院を卒業しているだけでは国際協力分野の仕事につくことは難しいですし、国際協力の世界では英語はできて当たり前なので、プラスαでフランス語やアラビア語ができると自分の強みになります。語学力があると、仕事の幅も広がります。
…..
やりたいことがあるのであれば、何をやってでも最後まで頑張ってほしいと思います。… 諦めないでください。国連職員は一部の人しかなれない職業ではありません。誰でもなれます。(注4)5
国連とは様々な関わり方があります。自分を無理して変える必要はなく、自分が活躍し、貢献できる場所を探していくことが大事だと思います。
そのためには、まずいろいろな人と会い、話をし、視野を広める努力をしてみてはどうでしょうか。(注5)
私の経験から、国連職員を目指す上ではぜひ専門性を身につけ、人との出会いを大切にしてもらいたいと思います。国連は、専門性がないと生き残れない世界ですし、また自分自身の経験上も、ネットワークに助けられた経験は幾度となくありました。(注6)
頑張るあなたを応援します!次の記事で会いましょう!
出典
(注1) ユニセフの主な活動内容
(注2) ユニセフについて
(注3) ユニセフ年次報告2018
コメント