- ユネスコでの仕事内容は?
- 職員に求められる要件は?
- 給料や待遇は?
- 応募方法、倍率は?
- ユネスコ職員のやりがいやクチコミは?
の疑問にこたえます。
この記事では、ユネスコでの仕事内容、職員に求められる要件、応募方法・倍率をわかりやすく解説します。
最後に、職員の方がユネスコでのやりがいなどのクチコミ、国連で働きたい方へのアドバイスを紹介します。最後までご覧ください♪
ユネスコでの仕事
概要
- 正式名称(英):United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO, 通称:ユネスコ)
- 正式名称(和):国際連合教育科学文化機関
- 設立年 :1945年
- 加盟国数 :加盟国193、準加盟地域12
- 通常予算総額:1,447,757,820米ドル (2022~2023年の2年分)
- 主要国分担率:中国(19.704%),日本(10.377%),ドイツ(7.894%),英国(5.651%),フランス(5.578%)
- 日本の分担額:約31億円 (2022年)
- 職員数 :[全体] 2,351人のうち日本人 58人(2%)、[専門職以上] 621人のうち日本人37人(5.9%) (注1)
主な活動分野
ユネスコの主な活動は、次の5つの分野での国際的な知的協力や途上国への支援事業です。この活動を通じて、SDGs(持続的な開発目標)の目標4「質の高い教育をみんなに」の達成を目指しています。
- 教育
- 自然科学
- 人文・社会科学
- 文化
- 情報・コミュニケーション
ユネスコの活動について、詳しくはこちらの記事にまとめています。
キャリアカテゴリー
ユネスコには、次の6つのキャリアカテゴリーがあります。(注1)
- 専門職 (International Professionals)
- 一般職 (General Service)
- ナショナルオフィサー (National Professional Officer)
- プロジェクトスタッフ (Project Appointments)
- 臨時職員 (Temporary Assignment)
- インターンシップ&ボランティア (Internships & volunteer)
専門職 (International Professionals)
- 国際的な公募で採用され、ユネスコ内でのキャリアを通じてさまざまな職務で貢献することが期待されています。専門家以上には、修士号/博士号、専門性、分析力とコミュニケーションスキルが求められます。(管理職には、これに加えてマネジメント能力、リーダーシップも求められます)
一般職 (General Service)
- 現地採用。事務、秘書、書記、警備、ビルメンテナンス、印刷などの業務を行います。
ナショナルオフィサー (National Professional Officer)
- 現地採用。現地での経験と知識を生かし、専門家レベルの貢献が求められます。
プロジェクトスタッフ (Project Appointments)
- 現地もしくは本部で採用され、契約が限定されたノンキャリアのポジションです。プロジェクト期間中は、ユネスコのスタッフとして働きます。
応募条件・給料
専門職に求められる要件
専門職以上の応募条件をご紹介します。ポストによって応募条件は異なりますので、希望するポストの空席広告を確認する必要がありますが、一般的には次の要件が求められます。(注3)
- 業務経験:ポジションにより次の表に記載の経験年数が求められます。
- 修士号(分野は、教育、文化、科学、社会人文科学、コミュニケーション、経営管理や関連分野)。博士号は特定のポジションで求められる場合があります。
- 英語もしくはフランス語が堪能であること。プラスαで国連公用語をもう1か国語扱えると望ましい。
[出典] UNESCO standard recruitment requirementから筆者作成
給料・待遇
ユネスコの職員には、国連共通制度に準じて給料や福利厚生が支給されます。(注2)
専門職
給料は勤務する地域や職員のレベルで大きく変わります。
例えば、東京で勤務の場合、国連の専門職・管理職の年収は約950万〜3700万円(1USD=130円、2023年1月現在)に加え福利厚生が支給されます。
福利厚生では、休暇、健康保険、年金などが支給され、待遇は充実しています。
詳しくはこちら↓
一般職
一般職の給料は、各国ごとにレベル(1~7)とステップ(I~XII)からなる給与体系(salary scale)が定められています。給料水準は、現地の給料水準に合わせて設定されています。そのため、同じレベル・ステップの職員でも国ごとに給料は大きく異なります。
ユネスコ本部のあるパリでの年収は、約500~1,200万円(1ユーロ=140円、2023年1月現在)です。
一方、ケニア・ナイロビでの年収は、約78万~596万円(1USD=124シリング, 1USD=130円換算。2023年1月現在) です。
詳しくはこちら↓
応募方法
JPO制度
ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)もしくはアソシエイト・エキスパート(AE)は、外務省が経費を負担して国連機関に派遣する職員のことです。
JPO制度では「外務省選考枠」での応募となります。倍率は5~7倍ほどです。日本人の国連職員の約4割は、はじめはJPO試験からの採用といわれています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
空席広告
専門家・管理職、一般職、コンサルタントなどは一般的にこの方法で採用がなされます。全世界での競争となりますので、競争倍率はJPO制度よりは高くなります。
2023年1月時点での空席情報はこちらです。
YPP (Young Professional Programme)
若手職員の採用促進、職員の地理的配分不均衡の解消を目的として、YPPが行われます。毎年3月ごろに、ユネスコ職員がいない国や望ましいとされる職員数に至らない国を対象に募集されます。
しかし、ユネスコの専門職以上での 621人のうち、日本人は37人(5%)を占め、それなりに高い水準なので、日本人がYPPの対象になることはあまりないかもしれません。
インターンシップ
大学院修士・博士課程の学生、研究者、公務員を対象に、研究分野に関係した国際機関での就労経験を提供するため、ユネスコではインターンシップ事業を行っています。
空席への応募ではコネも大切らしいので、インターンシップでコネを作り、応募の対策をした後に空席に応募という方法もあります。
ユネスコ職員になるまでのキャリア例
ユネスコの契約職員にいたるまでのキャリアの例を紹介します。(注4~6)
- 学士 → ジャーナリスト → 修士(生命倫理、医療人類学、医療社会学)→ JPO試験合格 → ユネスコ
- 学士 → 修士(農村開発)→ 金融業勤務 → ユネスコのコンサル → ユネスコの正規職員
- 学士 → 金融業勤務 → 青年海外協力隊 → 修士(教育と開発)→ ユネスコで国連ボランティア
ユネスコで働くとは?
国連フォーラムの「国連職員NOW!」から、国連職員で働いている人のインタビューを紹介します。役職はインタビュー当時のものです。
国連で働くまでの経緯は?
兎にも角にも現場を見ないと始まらないと考え、グラミン銀行でボランティアをしました。…人間にとってお金は確かに重要です。しかし、識字、知識及び技術の取得、学習能力の向上や習得する喜びは、「勉強」という狭い枠だけではなく、人として生きていくための尊厳、自己肯定や社会参加等に関わる重要なことだと思いました。
…ユネスコにコンサルタントとして入りました。
国連は、正規職員以外に様々な契約形態がありますが、私はパリ本部では3か月もしくは半年という短期契約の繰り返しでした。相当辛かったですね。いつ契約が切れてもおかしくないので人生の計画が立てられないですし、貯金もすっかりなくなり、フランスパンにチーズだけという生活も送っていました。(注4)
仕事の魅力・やりがいは何ですか?
ベトナムは傍目には発展しているように見えますが、まだまだ能力開発が重要な国です。…教育分野において、目に見える成果は10年、20年たたないとわかりません。しかし急激な経済発展の中で、人々の前向きに変わろうとする貪欲な姿勢が政策や事業に自然と現れてきます。そこを感じられるのが、今の仕事のやりがいです。(注4)
難しい、大変と感じることは何ですか?
国連職員はプロフェッショナルですから、最後には、役割分担などがなくても各々が動いてうまくいってしまうのです。各人が与えられた職務をきちんと理解しているからでしょうね。私は日本人の感覚で考えてしまい、役割分担がない状況や事前準備が不完全だとだめだと思っていましたが考えを改めました。国連本部は100カ国以上の職員が集まっているわけですから、日本のやり方を通そうとした私が間違っていました。でも、あの時は、本当に不安でした。(注4)
大きな難しい事業を性格の違う組織で調整しながら実施していかなければならないことでしょうか。エジプト政府、現地NGO、UNESCOと日本大使館では、やり方も処理のスピードも違います。例えばエジプト政府がすべてゆっくりなのに比べると日本大使館はとても仕事が早い。また、現地のNGOは仕事はやってくれますが、英語で文書を作るのはとても苦手です。こうしたタイミングや言葉の問題で、なかなかスムーズにはいかないわけです。(注6)
国連職員を目指す方へのメッセージ
国連や国際機関で働くということは選択肢の1つとして考えてもいいですが、それが目的になってしまってそのための対策を講じるようなことはお勧めしません。私は、好きだと思うことや情熱を持てることをその人の専門性のコアとすべきだと思います。ただ、だからといって、学術的な分野や地域にこだわらなければやっていけないというのではなく、いろんなものを吸収し、理解し、自分自身を変革していく柔軟性は必要で、それらの間でバランスを取れるかどうかが、自分自身の経験を踏まえても大切だと思います。(注5)
国連に入るまでは、学歴やそれなりの経歴が必要です。しかし一端入ってしまえば、誰もそんなことは気にしません。必要なのは「何ができるか」です。学生時代から自分の売りはなにか、自分の強みはなにかを考え、磨かれたほうが良いと思います。(注4)
Take Action!
いかがでしたか?
この記事ではユネスコでのキャリアについて紹介しました。
ユネスコは、教育、自然科学、人文・社会科学、文化、情報・コミュニケーションの5つの分野での国際的な知的協力や途上国への支援事業です。この活動を通じて、SDGs(持続的な開発目標)の目標4「質の高い教育をみんなに」の達成を目指しています。
ユネスコには、次の6つのキャリアカテゴリーがあり、この中で一般的に“国連職員”のイメージの専門職に求められる要件はこちらです。
- 業務経験(国際経験も含む)
- 修士号(分野は、教育、文化、科学、社会人文科学、コミュニケーション、経営管理や関連分野)。博士号は特定のポジションで求められる場合があります。
- 英語もしくはフランス語が堪能であること。プラスαで国連公用語をもう1か国語扱えると望ましい。
給料は勤務する地域や職員のレベルで大きく変わります。
- 専門職・管理職は、東京で勤務の場合、年収は約950万〜3700万円です。
- 一般職は、パリでの年収は約500~1200万円、ケニア・ナイロビでの年収は約78万~596万円です。
応募方法は、次の方法があります。
- JPO制度
- 空席広告
- YPP
- インターンシップ・ボランティア
私は「国際協力で世界を良くする仲間を、1人でも増やす」という想いから記事を発信しています。
1人の力は小さくても、皆で集まると大きな力になると信じて。
頑張るあなたを応援しています!
次の記事で会いましょう!
出典
(注2) UNESCO Digital Library, Staff salaries, allowances and benefits
(注3) UNESCO standard recruitment requirement
(注4) 田島 英介さん UNESCOベトナム・ハノイ事務所 教育プログラム専門官
(注5) 池部 織音さん UNESCOカイロ事務所
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