なぜ世界から戦争がなくならないの?
99%の人は望んでないのに…。戦争したい1%の人の思惑は?
戦争はビッグビジネスと聞いたことがある。どのようなことか知りたい。
日本も戦争に巻き込まれないか心配…。とはいえ、戦争の話って難しそうだし…。分かりやすく知りたい。
この疑問にこたえます。
この記事を書いている筆者は、人道支援のNGOで働く現役スタッフです。自衛隊で働く弟をもつことから、戦争を他人事とは思えず、人道面と安全保障面から真剣に考えています。
池上彰さんの「なぜ、世界から戦争がなくならないのか?」(2020年発刊)を参考にまとめました。
▽この記事で分かること
- 世界で戦争がなくならない理由3つ
- 私たちにできること3つ
結論からいうと、世界で戦争がなくならない理由の一つは、戦争がビッグビジネスで、それで多くの会社が儲けており、多くの人の生活を支えているからです。
このことを、アメリカを事例に、具体的に3つの理由で解説します。
また、日本もアベノミクスの一環で戦争ビジネスに参加できるように法律と体制が整えられています。なので、他人事ではありません。
初心者でも分かりやすいようにまとめました。3分ほどで読めます。
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世界で戦争がなくならない理由3つ
軍事費No.1のアメリカでのビジネスを軸に、戦争がなくならない理由を3つ紹介します。結論からいうと、こちらです。
- 軍と軍需産業で多くの国民の生活を支えているから
- 戦争で儲ける「軍産複合体」という仕組みがあるから
- 戦争の民営化で、国民の生活から切り離して戦争しやすくなったから
まずアメリカの軍事産業の状況から説明します。
アメリカの軍事費・軍需産業
アメリカでの軍事費は、世界でぶっちぎりの1位で、全世界での軍事費支出の約39%を占めます。
この軍事費は、皆さんがイメージするような軍艦、戦闘機、戦車、ミサイル、銃器、爆薬などのほか、兵士への給料や食べものなどの衣食住にかかる費用などが含まれます。
2020年は新型コロナで産業の打撃を受けましたが、軍事費は関係なく伸びています。2030年には9000億ドルまで至るとも言われています。
この軍需産業をひもとくことで、戦争とお金の関係が見えてきます。
2010年から2014年の5年間にアメリカ国防総省が契約した会社は14万社で、実際にはそれ以上あるともいわれています。
アメリカ国防総省と契約した企業のトップ5 (2021年)はこちらです。
軍と軍需産業で多くの国民の生活を支えている
軍需産業でこれだけ大きなお金が動くので、当然そこで働く人も大勢います。
もし兵器の需要がなくなると、このような企業は商売できず、そこで働く人も失業し、景気も悪化してしまいます。
しかし、戦争があれば兵器の需要が高まり、景気が良くなるのです。
また、米軍でも多くの雇用を生み出しています。全世界でアクティブな米兵の数は15~20万人ともいわれ、それを支える人々も含めると膨大です。
アメリカでは50の州にそれぞれ米軍基地があります。なぜでしょうか?
アメリカ政府が「軍事費を削減しよう、軍隊の数を減らそう」と決めると、どこかの州の基地が閉鎖されることになります。
そうなったら雇用が減り・失業が増え→地域住民の反対運動→政治家が「うちの州の基地は閉鎖しないでくれ」と動けば、その州の基地は閉鎖されずに済みます。
アメリカ軍はそこまで考えて、全州に基地を置いたのです。
このように、軍と軍需産業で多くの国民の生活を支えていることが、アメリカが戦争をする大きな理由の一つです。
戦争で儲ける「軍産複合体」という仕組み
お金と戦争の関係を象徴する「軍産複合体」という言葉があります。
簡単にいうと、軍、産業、政治家で結託する仕組みです。こちらの図をご覧ください。
軍から軍需産業へは武器などを発注します。軍需産業は武器などを軍に納入しますが、見返りに、軍の関係者の幹部に再就職先を斡旋するという利益供与がおきる可能性があります。
さらに、そこに政治家が関わると、軍需産業として政治家に献金したり、票集めに協力したりします。
そうすると、政治家を介して国から軍と産業に予算が付くことになります。
予算がつけば、軍は軍需産業に発注する。軍需産業は利益が上がれば、また政治家に献金する。そうやって関係が深まっていきます。
お金で結ばれる3者の間には揺るぎない関係性があり、いったんできてしまうと崩すのが大変難しいです。
戦争の民営化で、国民の生活から切り離して戦争しやすくなった
戦争での戦闘を請け負うような会社があります。民間軍事会社です。
民間軍事会社は、民間が設立した戦闘要員と警備員の派遣会社です。
主に請け負っているのは、戦地での要人警護や各国大使館の警備です。開発コンサルでも戦地でのプロジェクトを行う場合には、警備を依頼することがあります。
仕事の一環で、戦闘要員を派遣し、戦闘を請け負うことも。
民間軍事会社の社員は、元軍人など戦争経験者が働いています。リスクが高い分、給料も高く日給15万円とも言われています。月20日働くとしたら、月収300万円です。
国が民間に委託する目的はこの2つです
①世論対策
正規軍であれば、戦地で死んだら戦死者、ケガしたら戦傷病者として扱われます。兵士が大勢死ぬと、世論から批判されます。
しかし、民間の傭兵であれば批判されません。
②コスト削減
アメリカ軍兵士では、死んでしまったら遺族に年金が払われ、負傷すれば治療費が支払われます。これに、アメリカ政府は年間約6兆円も支出しているのです。
それに対し、民間の傭兵が死んでも、ケガしても、このような遺族年金や治療費を支払う必要がありません。長い目で見ると、コスト削減につながっているのです。
国どうしが対立した戦争であるのに、民間の傭兵をつかうことで、被害が過少に評価されます。
私たちにできること3つ
いかがでしたか?
この記事では、世界で戦争がなくならない理由として、アメリカを事例に、次の3点を紹介しました。
- 軍・軍事産業で多くの国民の生活を支えているから
- 軍産複合体という仕組みがあるから
- 戦争の民営化で、国民の生活から切り離して戦争しやすくなったから
また、日本も他人事ではなく、武器を輸出し戦争ビジネスに参加できるように法律と仕組みが整えられてきています。
これに対して、私たちができることは何でしょうか?
一人一人が考えることが大切です。ここで、私の考えを紹介します。ありきたりかもしれませんが、1つの意見としてとらえてもらえればと思います
①学ぶ
戦争の原因は何だろう?どうしたら、その原因を取り除けるのか?
戦争にいたるまでの仕組みをくみとき、戦争をなくすのに効果的な方法を考えるには、はやり学び続けるのが大切です
②政治に関心を持ち参加する
政治に無関心でいる一番のデメリットは、気づいた時には戦争など取返しのつかない状況にまで陥ってしまうことです。
自分や子どもの世代にとって、タメになる政策がなされているか関心をもって、政治に参加すること、とても大事だと思います。
選挙で、若者の参加率が低いと、政治家はより投票率の高い高齢者向けの政策を、若者を蔑ろにしても経済が回るような政策をとってしまいます。
自分のため、子どものためにも、政治に参加しましょう。政治家になるのも方法です
③消費の先の影響も考えて、行動する
自分の消費する先の企業について良く知ることも大切です。
例えば、自分が日々使っているパソコンやケータイに紛争鉱物が使われていて、実は消費を通じて、反政府勢力を支援してしまっていた…。なんてことは嫌ですよね。
企業の社会への取り組みを知り、消費に生かすことは大事だと思います。
戦争に加担しているような企業へは不買運動することも方法です。
私たち一人ひとりの力は微力ですが、集まれば大きな力になります。
頑張るあなたを応援しています!
次の記事で会いましょう!
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出展
(注1) 池上彰(2021年3月)「なぜ、世界から戦争がなくならないのか?」SBクリエイティブ株式会社。
(注2) INSIDER MONKEY, Top 5 Defense Contractors in 2021
(注3) WIKIPEDIA, United States military deployments
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