- PRI(責任投資原則)とは?
- PRIは投資家にどう影響したか?
- 企業として、いかに投資トレンドの変化に対応するか?
の疑問にこたえます。
PRIとは
PRI(責任投資原則、Principles for Responsible Investment)は、投資にESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を組み入れることなどからなる機関投資家の投資原則です。
原則に賛同する投資機関は署名し、順守状況を開示・報告する必要があります。
2006年に国連のコフィー・アナン事務総長(当時)が金融業界に対して提唱し、現在は、世界の1965の機関(資産運用規模は約70兆ドル)が署名しています。
日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめ、84の機関が署名しています。(2020年9月25日現在)
84の機関の一覧は、この記事の最後にまとめました。
PRIは、次の3つを通じて持続可能なグローバル金融システムの達成を目指すイニシアティブです。
- 6つの原則の採択と実施のための協力促進
- 優れたガバナンス、誠実性、説明責任の強化
- 持続可能な金融システムに対して市場のプラクティス・構造・規制により生じる障害を取り除くこと
PRIの6つの原則とは、機関投資家が署名し、コミットする次の6つの原則です。
- 投資分析と意思決定のプロセスにESGの視点を組み入れる
- 活動的な(株式)所有者となり、(株式の)所有方針と所有習慣にESGの視点を組み入れる
- 投資対象の主体に対し、ESGに関する情報開示を求める
- 資産運用業界においてPRIが広まるよう、働きかけを行う
- PRIの実行する際の効果を高めるために協働する
- 本原則に関する活動状況や進捗状況を報告する
PRIは投資家への影響
PRIの誕生により、グローバル市場でESGは飛躍的に拡大していきました。
設立から十数年の間に多くの機関投資家やアセット・オーナーが責任投資へのコミットメントを表明しました。
投資の意思決定において、今やESG要因を考慮することは、実務でも公的政策でも。積極的な義務であると当然に考えられる環境が整ってきたといえます。
つまり、投資家は「PRI」「ESG」の基準で企業をみるのが常識になりつつあります。
機関投資家は、ESGなどの非財務情報もチェックしています。なぜなら、将来的に財務情報に影響を与えることが予想されるためです。
EもSもGもしっかりと確立した企業でなければ、(長期で)投資をさせていただくことができません。
(特に)ガバナンスがめちゃくちゃな企業は、当然投資できません。
短期的には利益が上がることがあっても、長期的にはまず間違いなく業績が大きく変動し、赤字に陥るケースもあります。
そういったことは過去にも頻繁にありました。(注3)
投資トレンドの変化に対する企業の対応
投資トレンドの変化に合わせて、企業もESG/SDGsに取り組むことは重要です。
取り組みの方法はこちらの記事で紹介しています
日本のPRI署名機関一覧
2020年9月25日時点の日本でのPRI署名機関はこちら(署名日が新しい順)です。
このような金融機関では、ESGの基準で企業を審査しています。次の金融機関との付き合いがある企業、もしくは今後付き合っていきたい企業は、ESG対応が必要となります。
- トパーズ・キャピタル株式会社
- 日本バリュー・インベスターズ株式会社
- ジャパン エクセレント アセットマネジメント株式会社
- セゾン投信株式会社
- 農林中金全共連アセットマネジメント
- 三菱地所投資顧問株式会社
- 株式会社りそな銀行
- エーザイ企業年金基金
- エー・アイ・キャピタル株式会社
- 大樹生命保険株式会社
- 株式会社日本産業推進機構
- 一般財団法人リープ共創基金
- カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント株式会社
- 東急不動産キャピタル・マネジメント株式会社
- 株式会社金匤
- 株式会社東京リアルティ・インベストメント・マネジメント
- 住友生命保険相互会社
- ケネディクス株式会社
- 朝日生命保険相互会社
- 国立大学法人東京大学
- 積水ハウス・アセットマネジメント株式会社
- 明治安田生命保険相互会社
- 三井住友信託銀行株式会社
- ジャパン・リート・アドバイザーズ株式会社
- 株式会社福岡リアルティ
- みずほ不動産投資顧問株式会社
- ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社
- ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社
- スパークス・グループ株式会社
- 野村不動産投資顧問株式会社
- 株式会社かんぽ生命保険
- 労働金庫連合会
- ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社
- ユニゾン・キャピタル株式会社
- 三菱UFJ国際投信株式会社
- 日本生命保険相互会社
- ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン株式会社
- DBJアセットマネジメント株式会社
- 株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
- 大同生命保険株式会社
- アント・キャピタル・パートナーズ株式会社
- 株式会社イースクエア
- インテグラル株式会社
- 日興リサーチセンター株式会社
- ニューホライズンキャピタル株式会社
- ポラリス・キャピタル・グループ株式会社
- 企業年金連合会
- 富国生命保険相互会社
- 明治安田アセットマネジメント株式会社
- 富国生命投資顧問株式会社
- サステナ株式会社
- 第一生命保険株式会社
- 学校法人上智学院
- 株式会社エッジ・インターナショナル
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
- ACA革新基金運用株式会社
- MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社
- 株式会社ニューラル
- MU投資顧問株式会社
- J-STAR株式会社
- HCアセットマネジメント株式会社
- 株式会社QUICK
- 朝日ライフ アセット マネジメント株式会社
- 三菱商事・ユービーエス・リアルティ 株式会社
- 東京海上キャピタル株式会社
- アセットマネジメントOne株式会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- T&Dアセットマネジメント株式会社
- CSRデザイン環境投資顧問株式会社
- 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社
- セコム企業年金基金
- 東京海上アセットマネジメント株式会社
- 野村アセットマネジメント株式会社
- 三井住友DSアセットマネジメント株式会社
- 株式会社りそな銀行
- 日興アセットマネジメント株式会社
- 太陽生命保険株式会社
- みずほ信託銀行株式会社
- ニッセイ アセットマネジメント株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- 大和証券投資信託委託株式会社
- 三井住友信託銀行株式会社
- 三菱UFJ信託銀行株式会社
- キッコーマン企業年金基金 (注2)
オススメの本
SDGsやESGを理解するために、こちらの本がとてもオススメです。
出典
(注1) 田瀬和夫氏「SDGs思考 2030年のその先へ 17の目標を超えて目指す世界」
(注2) 日本のPRI(責任投資原則)署名機関一覧
コメント