寄付新法の影響って何があるの?
ぶっちゃけ法律とか良く分からないから、気をつけるポイントを分かりやすく知りたい。
この疑問にこたえます。
NPOで働く筆者が、寄付規制新法の影響を受ける側として、寄付を募る上で気をつけることを結論から紹介します。
また、この新法の影響や経緯わかりやすく解説します!
寄付新法って何?
安倍晋三元首相の銃撃・殺害事件が、きっかけでした。
殺人容疑などで送検された山上容疑者は、安倍氏と接点のあった世界統一家庭連合(旧統一教会)の信者である母親が教団に献金を重ね、「家庭が崩壊した」ことを犯行の動機に上げました。
このような悲しい事件が起こらないように、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」が2023年1月5日から施行されました。ここでは、省略して寄付新法といいます。
もちろん銃撃事件のような事件は防ぐ必要はありますが、問題なのは、この寄付新法の対象が宗教法人だけでなく、NPO、公益法人、任意団体など、寄付を募る主体を一括りで対象としたことです。
ファンドレイジングをする方や団体は寄付新法に対応する必要があります。
一緒に学んでいきましょう!
寄付を募る上での注意点チェックリスト10個
結論から言うと、個別具体的なケースは弁護士に相談するのがベストですが、まずは現場レベルではこれに注意しましょう。
消費者庁の公開情報をもとに、法律用語をかみ砕いてポイントを紹介します。
寄付を募る上での注意点チェックリスト10個
配慮義務(*1)
- マインドコントロール下になく、自由意志で決定できる
- 寄付者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
- 法人名や寄付使途を正確に伝え、誤解させない。(法人名や寄付使途で嘘をつかない)
禁止行為(*2)
- 寄付者に借金させてまで寄付の勧誘をしない
- 不当な勧誘(具体的には①~⑥に記載)で寄付者を困惑させない
- ①家にとどまって勧誘を続ける(不退去)
- ②その場から帰らせないで勧誘を続ける(退去妨害)
- ③勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行
- ④脅迫して相談の連絡を妨害
- ⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知
- ⑥霊感等による知見を使った告知
(*1)配慮義務は、何らかのアクション(配慮)をしないといけませんが、実施の有無・結果について、基本的に罰則はありませんが勧告・公開はありえます。
(*2)禁止行為は、文字通り禁止されている行為です。配慮義務よりも厳しく、これを破ると勧告・命令、場合によっては罰則をうけます。
寄付新法の影響
寄付意思の取り消し
不当な勧誘により困惑して寄付の意思表示した場合、取り消しをできるようになりました。
この取消権が有効な期間はこちらです。
- 不当な勧誘①~⑤の場合、被害に気づいた時から1年、寄付から5年
- 不当な勧誘⑥の場合、被害に気づいた時から3年、寄付から10
ここでポイントは、「不当な勧誘で困惑して寄付の意思表示」をしたことです。
なので、このようなケースは取り消しの対象にはなりません。
当時はお金があって寄付したけど、今はお金がないので、寄付を取り消ししてほしい
理不尽な寄付取り消しは認められない公平性はあります。ただし、この人が「寄付時に困惑していたこと」を自ら立証した場合は別です。
寄付を募る側としては、配慮義務をまもり、禁止行為をしないことが大事です。
行政措置と罰則
寄付を募るにあたり配慮義務や禁止行為を行った場合、まずは勧告を受け、勧告に従わない場合は命令・公表されます。また、次の場合に罰則が科されます。
- 嘘の報告をした場合、50万円以下の罰金
- 命令に従わない場合、1年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金
団体名が公表されると、団体のブランドイメージを大きく損なってしまいます。罰則となるとなおさらです。
コンプライアンスを守り、健全に運営しましょう。
債権代位権の行使に関する特例
タイトルで「難しそう…」と思った方、安心してください。かみ砕いて説明しますね。
寄付者が生活に必要な養育費や婚姻費用から寄付をした場合に、寄付者の子どもや配偶者は、返金を求めることができます。これを、債券代位権といいます。
具体的には、遺贈寄付や高額寄付のケースで、寄付者自身が亡くなかった後であったり、本人が認めない場合であっても、扶養下にある子どもや配偶者がこのように主張し返金を求めることができます。
子どもを育てるのに必要な養育費から、寄付者が勝手に寄付した!将来必要な養育費分を返してくれ!
遺贈寄付は、金額が大きいですから、団体がそれを受け取った後に数年後に返金請求がくると大変なことです。専門家に相談して対応してくださいね。
[参考]NPOのための弁護士ネットワーク
NPO・社団法人・財団法人等の非営利団体を対象にした無料法律相談会を定期的に開催しています。
お困りごとがあれば、相談に乗ってくれます。詳しくはこちらからご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、寄付新法の新法の経緯や影響、寄付を募る上で気をつけることを紹介しました。
寄付を募る上での注意点チェックリスト10個
配慮義務
- マインドコントロール下になく、自由意志で決定できる
- 寄付者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
- 法人名や寄付使途を正確に伝え、誤解させない。(法人名や寄付使途で嘘をつかない)
禁止行為
- 寄付者に借金させてまで寄付の勧誘をしない
- 不当な勧誘(具体的には①~⑥に記載)で寄付者を困惑させない
- ①家にとどまって勧誘を続ける(不退去)
- ②その場から帰らせないで勧誘を続ける(退去妨害)
- ③勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行
- ④脅迫して相談の連絡を妨害
- ⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知
- ⑥霊感等による知見を使った告知
また、寄付意思の取り消し、行政措置と罰則、債権代位権の行使に関する特例のポイントを紹介しました。
読者の皆さんのファンドレイジング活動のお役に立てれば嬉しいです!
頑張るあなたを応援しています!
次の記事で会いましょう!
参考資料
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